敬老の日は家族で温泉へ|シニア世代の安心入浴と三世代で過ごす秋の一日
朝晩の風にふと涼しさを感じるようになる9月。長かった猛暑がようやくゆるみ、体がほっと一息つける季節がやってきます。そしてこの月には、家族が集まる大切な祝日「敬老の日」があります。
「何を贈ればいいのか毎年悩む」――そんな声を、名東温泉花しょうぶのフロントでも聞かれたことがあります。実は近年、モノを贈るより「一緒に過ごす時間」を選ぶご家族が増えています。その選択肢のひとつとして、温泉施設で半日ゆっくり過ごす、という過ごし方が静かに支持を集めています。
ただし、シニア世代の入浴には、若い世代とは違う配慮が必要です。この記事では、9月という季節の特性をふまえながら、シニア世代が安全に、そして気持ちよく温浴を楽しむための知識と、三世代で過ごす一日のモデルプランをご紹介します。愛知県長久手市の名東温泉花しょうぶを例に、具体的にお話ししていきます。
2026年の敬老の日は9月21日|「モノ」より「時間」が喜ばれる理由
敬老の日は9月の第3月曜日。2026年は9月21日(月)にあたり、前日の日曜日と合わせて連休になります。さらにこの年は9月22日が国民の休日、23日が秋分の日となるため、9月19日(土)から23日(水)までの5連休、いわゆるシルバーウィークが成立する年です。ご家族が集まりやすい、またとないタイミングと言えるでしょう。
各種の意識調査では、敬老の日に「贈り物をもらうこと」より「家族と一緒に食事や外出をすること」を望むシニア世代が多いという結果が繰り返し報告されています。背景にあるのは、モノがすでに十分にあるという事情だけではありません。年齢を重ねるほど、日常の中で家族とゆっくり話す時間そのものが貴重になっていく、という実感があるようです。
とはいえ、遠出の旅行はハードルが高い。長時間の移動は腰や膝に負担がかかりますし、宿泊となると準備も費用も大きくなります。その点、車で30分圏内の温浴施設なら、移動の負担は最小限。しかも「お風呂」という共通の楽しみがあるため、世代を超えて会話が生まれやすいという利点があります。
お風呂は不思議な場所です。テレビもスマートフォンもない空間で、ただ湯に浸かっている時間。普段は照れくさくて聞けないような昔の話が、湯船の中では自然と出てくることがあります。「おじいちゃん、若い頃どんな仕事してたの?」――そんな会話が、脱衣所を出るころには家族の記憶になっている。温泉が贈り物として選ばれる理由は、案外こういうところにあるのかもしれません。
シニア世代の体は「温度差」に弱い|9月の入浴で知っておきたい体温調節のしくみ

9月の入浴を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「この時期の気温変化」です。日中はまだ30℃を超える日がある一方、朝晩は20℃前後まで下がる。この日較差の大きさが、体にとっては意外な負担になります。
人間の体には、皮膚の血管を広げたり縮めたりして体温を一定に保つ機能が備わっています。暑ければ血管を広げて熱を逃がし、寒ければ縮めて熱を守る。この調節を担っているのが自律神経です。ところが、この機能は加齢とともに応答が鈍くなっていくことが知られています。
高齢者では、暑さや寒さを感じる皮膚の温度感覚そのものが低下し、また発汗機能も若年者に比べて低下する傾向があります。つまり「暑いのに暑いと感じにくく、汗もかきにくい」状態になりやすい。これが夏場の熱中症リスクが高齢者で高い理由のひとつです。
そして入浴時には、これとは別の問題が生じます。血圧の変動です。
脱衣所で服を脱ぐと、体表面から熱が逃げて皮膚血管が収縮し、血圧が上がります。次に熱い湯に入ると、今度は血管が急速に拡張して血圧が下がる。さらに湯から出ると、水圧から解放されて再び血圧が変動する。この短時間での上下動が、心臓や脳の血管に負担をかけます。いわゆるヒートショックです。
厚生労働省の人口動態統計によれば、浴槽内での溺死者数は年間5,000人前後で推移しており、その大半が65歳以上です。この数字は交通事故死者数を上回っています。ただし、これは「入浴が危険」という話ではありません。「温度差への対処を知らないまま入浴することが危険」というだけの話です。
9月は、この温度差リスクが見過ごされやすい季節でもあります。冬場なら誰もが「脱衣所が寒い」と警戒しますが、9月はまだ暖かい日もあるため油断しがち。実際には朝晩の冷え込みが始まっており、夕方以降の入浴では冬に準じた注意が必要になります。
血圧にやさしい炭酸泉|36〜38℃のぬる湯がシニアに向いている理由
では、どうすれば安全に温まれるのか。ここで注目したいのが「炭酸泉」です。
炭酸泉とは、二酸化炭素(CO2)が溶け込んだお湯のこと。日本の温泉法では遊離二酸化炭素を1kgあたり1,000mg以上含むものが「二酸化炭素泉」と定義されます。ドイツでは古くから心臓病のリハビリテーションに用いられてきた歴史があり、療養泉として研究の蓄積があります。
炭酸泉の特徴は、皮膚から吸収されたCO2が末梢の血管を拡張させる作用を持つことです。血管が広がれば血流が増え、皮膚は赤みを帯びて温かくなります。ここまでは「熱い湯に入ったとき」と同じように聞こえますが、決定的に違う点があります。
それは、低い温度でも血管拡張が起こるということです。
通常のさら湯で全身の血流を高めようとすれば、41〜42℃といった高温が必要になります。しかし高温浴は交感神経を強く刺激し、血圧の急上昇を招きやすい。一方、炭酸泉なら36〜38℃程度のぬるめの温度でも血管拡張が得られるため、心臓への負担を抑えながら血流を改善できます。
さらに、37℃前後のぬるめの湯は副交感神経を優位にしやすく、リラックス方向に働きます。血圧を大きく揺さぶらずに温まりたいシニア世代にとって、炭酸泉のぬる湯は理にかなった選択肢と言えるでしょう。
名東温泉花しょうぶでは、この炭酸泉を備えています。入浴の際は、以下の手順を意識してみてください。
- かけ湯は足元から:心臓から遠い足先→膝→太もも→腰→肩の順に、湯を10杯以上かけて体を慣らします
- 半身浴から始める:最初の3〜5分はみぞおちまでの半身浴で、水圧による心臓への負担を減らします
- 肩まで浸かるのは後半:体が温まってから全身浴に移行します
- 10〜15分を目安に:炭酸泉は長めに浸かれますが、のぼせる前に上がるのが原則です
- 立ち上がるときはゆっくり:浴槽の縁に手をつき、10秒ほどかけて立つと起立性低血圧を防げます
特に最後の項目は重要です。湯船の中では水圧が血液を心臓に押し戻していますが、立ち上がるとその圧力が消え、血液が下半身に移動して一時的に脳の血流が減ります。これが浴室内での立ちくらみ・転倒の主因です。「ゆっくり立つ」だけで防げるリスクなので、ぜひご家族から声をかけてあげてください。
露天風呂と外気浴|秋風を感じながら「無理をしない」休み方

9月の温浴で、この季節ならではの贅沢と言えるのが露天風呂です。
真夏は屋外が暑すぎて露天風呂の魅力が半減し、真冬は寒さで長居できない。その点、9月下旬の外気温は露天風呂にとって理想的です。湯の温かさと風の涼しさのコントラストがちょうどよく、湯面に触れる風の感触が心地よい季節。夕暮れの空が少しずつ色を変えていく様子を眺めながら浸かる時間は、この時期だけのものです。
シニア世代にとって、露天風呂にはもうひとつの利点があります。それは「のぼせにくい」ということ。屋内の浴室は湿度も気温も高く、体温がこもりやすい環境ですが、屋外では上半身から適度に熱が逃げるため、体温の上がりすぎを防げます。結果として、無理なく長めに浸かることができます。
また、露天風呂の縁に腰かけて風にあたる「外気浴」も、ぜひ取り入れていただきたい過ごし方です。サウナ愛好家の間では「ととのう」ための必須工程として知られていますが、サウナに入らなくても外気浴の効果は得られます。
温まった体を外気で冷ますと、拡張していた皮膚血管が緩やかに収縮し、深部体温が下がっていきます。この「上がった体温がゆっくり下がる」局面で、人は強い脱力感とリラックスを感じます。同時に、副交感神経が優位になり、心拍が落ち着き、呼吸が深くなる。何もしていないようでいて、体の中では回復の作業が進んでいる時間です。
ただし注意点もあります。9月の夕方以降は思いのほか冷えます。外気浴は5分程度を目安に、寒さを感じる前に切り上げてください。「気持ちいいからもう少し」と粘るのは、体温を必要以上に下げ、風邪の原因になります。特に呼吸器に持病のある方は短めに。
三世代で楽しむ一日のモデルプラン|名東温泉花しょうぶの過ごし方
ここからは、実際に三世代で訪れる場合の過ごし方を、時間の流れに沿ってご提案します。愛知県長久手市にある名東温泉花しょうぶは、長久手市内はもちろん、名古屋市名東区や尾張旭市、日進市などからも車でアクセスしやすい立地です。
【午前11時ごろ|到着】
混雑を避けたいなら、午前中の早い時間帯が狙い目です。祝日は昼過ぎから夕方にかけて来館者が増える傾向があるため、シニア世代がゆったり過ごすには午前中の到着がおすすめ。駐車場も停めやすく、脱衣所のロッカーにも余裕があります。
【11時30分〜12時30分|第一浴】
まずは1時間程度の入浴。ここで無理は禁物です。祖父母世代は炭酸泉のぬる湯を中心に、お孫さん世代は温度の違うお風呂を巡って楽しむ、という具合に、それぞれのペースで。男女に分かれるため、お孫さんが小さい場合はどちらの親が付き添うかを事前に決めておくとスムーズです。
【12時30分〜13時30分|食事と休憩】
入浴後は必ず水分補給を。汗として失われた分を補うため、湯上がりには コップ2杯程度の水分が目安になります。食事は入浴直後より30分ほど間を置いたほうが消化にやさしいので、まず休憩スペースで水分をとり、体が落ち着いてから食事へ。この時間が、実は一番会話が弾む時間帯かもしれません。
【13時30分〜15時|岩盤浴またはあかすり】
体力に余裕のある方は岩盤浴へ。岩盤浴は40〜45℃前後の低温環境でじんわり汗をかくもので、サウナのような急激な温度刺激がないぶん、体への負担は穏やかです。ただし、シニア世代は15〜20分程度で一度退室し、水分をとって休むサイクルを守ってください。
肌の手入れを兼ねたいなら、あかすりという選択肢もあります。専門のスタッフが施術してくれるため、自分でこすりすぎる心配がなく、背中など手の届かない部位もきれいになります。敬老の日の贈り物として、あかすりのチケットを渡すというのも喜ばれる形です。
【15時〜16時|仕上げの一浴と休憩】
最後にもう一度、短めに湯に浸かって仕上げ。この時間帯の露天風呂は、日差しがやわらいで過ごしやすくなっています。あとは休憩スペースでゆっくり体を冷ましてから帰路へ。
【帰宅後】
温浴後は体が疲れています。夕食は軽めにし、早めの就寝を。入浴で上がった深部体温が下がるタイミングで眠気が訪れるため、この日は普段より寝つきがよくなるはずです。
安全に楽しむためのチェックリスト|ご家族が気をつけたいポイント

楽しい一日にするために、ご家族が気に留めておきたいポイントをまとめました。
1. 出発前の体調確認を習慣に
「今日は調子どう?」の一言を。血圧が普段より高い、眠れていない、風邪気味――こうした日は無理をせず日程を変える判断も大切です。特に、当日の朝に体調不良を感じている場合は延期が賢明です。
2. 空腹時・満腹時・飲酒後は避ける
空腹での入浴は低血糖による立ちくらみを招きます。逆に満腹直後は消化器に血液が必要な時期に皮膚へ血流が移るため、消化不良の原因に。そして飲酒後の入浴は、アルコールによる血管拡張と入浴による血管拡張が重なり、血圧が下がりすぎる危険があります。これは年齢を問わず避けるべきです。
3. 入浴前後の水分補給を徹底
入浴では、思っている以上に水分が失われます。入浴前にコップ1杯、入浴後にコップ2杯を目安に。特に高齢者は口渇感が鈍くなっているため、「喉が渇いていないから飲まない」ではなく、時間で区切って飲む習慣をつけてください。
4. 「一人にしない」時間をつくらない
男女別の浴室では、どうしても目が届かない時間ができます。「30分たったら一度出て、休憩所で合流する」といったルールを事前に決めておくと安心です。長時間戻ってこない場合にすぐ気づける体制が、万一のときの命綱になります。
5. 服薬中の方は医師への確認を
降圧剤、血糖降下薬、睡眠導入剤などを服用中の方は、入浴による血圧・血糖の変動が薬の作用と重なることがあります。定期通院時に「温泉に行っても大丈夫か」を主治医に確認しておくと安心です。心疾患・脳血管疾患の既往がある方は特に。
6. 床の濡れに注意
浴室・脱衣所での転倒は、骨折から寝たきりにつながる重大事故です。手すりのある場所を選んで移動する、急がない、スリッパは滑りにくいものを選ぶ――基本的なことですが、これが最も効きます。お孫さんが走り回らないよう声をかけるのも、ご家族の役目です。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 高血圧の薬を飲んでいますが、温泉に入っても大丈夫ですか?
A. 血圧がコントロールされている状態であれば、多くの場合は問題ありません。ただし、41℃以上の高温浴は血圧を急上昇させるため避け、38℃前後のぬるめの湯を選んでください。炭酸泉はぬるめでも血流が上がるため、こうした方に向いています。心配な場合は主治医にご相談ください。
Q2. 足腰が弱く、浴槽をまたぐのが不安です。
A. 手すりのある浴槽を選び、必ず手すりを使って出入りしてください。ご家族が同性であれば付き添いを。また、浴槽の縁に一度腰かけてから足を入れる「座位からの入浴」は、立ったまままたぐより格段に安全です。無理に立ったまま入ろうとしないことが大切です。
Q3. 敬老の日は混雑しますか?
A. 祝日は昼過ぎから夕方にかけて来館者が増える傾向があります。ゆっくり過ごしたい場合は午前中の来館がおすすめです。営業時間や当日の混雑状況については、名東温泉花しょうぶの公式サイトや館内案内をご確認ください。
Q4. 小さな孫を連れて行っても大丈夫でしょうか?
A. お子様連れの利用は可能です。ただし小さなお子様は体温調節機能が未熟で、大人より早くのぼせます。湯温は低めのものを選び、5分程度で一度上がって休憩をはさむサイクルを。また浴室内では走らせないよう、必ず大人が付き添ってください。
Q5. 認知症の家族と一緒に行きたいのですが、注意点はありますか?
A. まず、必ず同性のご家族が付き添える体制をつくってください。単独行動は避け、脱衣所からロッカーの場所まで一緒に確認を。また、いつもと違う環境は混乱を招くことがあるため、事前に「今日はお風呂に行くよ」と繰り返し伝え、当日も急がせないことが大切です。施設によって受け入れ体制が異なるため、事前に施設へお問い合わせいただくと安心です。
Q6. 入浴後、疲れがどっと出るのはなぜですか?
A. 入浴は、軽い運動に相当するエネルギーを消費します。血流が増え、心拍数が上がり、発汗もある。つまり体は「働いている」状態です。そのため入浴後に脱力感が出るのは自然な反応で、むしろ体が回復モードに入ったサインとも言えます。ただし極端な疲労感や気分不良がある場合は、湯温が高すぎたか長すぎた可能性があるため、次回は短めに調整してください。
まとめ|9月の温泉が、家族の記憶になる
9月は、暑さがゆるみ、体がようやく休息を求め始める季節です。そして敬老の日という、家族が集まる理由がある月でもあります。
シニア世代の入浴で大切なのは、「熱く」「長く」ではなく、「ぬるく」「ゆっくり」。炭酸泉のぬる湯で血流を穏やかに高め、露天風呂で秋風を感じ、外気浴で体を落ち着かせる。この流れなら、体に無理をかけずに温浴の恩恵を受けられます。
そして何より、この日の主役は「お湯」ではなく「一緒にいる時間」です。湯船の中で交わされる何気ない会話、休憩所で分け合うアイスクリーム、帰りの車で聞く「気持ちよかったね」の一言。そういうものが、後になって思い出になっていきます。
愛知県長久手市の名東温泉花しょうぶは、炭酸泉、露天風呂、岩盤浴、サウナ、あかすりを備えた総合温浴施設です。長久手市内、名古屋市名東区、尾張旭市、日進市などからお越しいただきやすい場所にあります。今年の敬老の日は、ご家族そろって半日、ゆっくりお過ごしになってみてはいかがでしょうか。
お帰りの際、おじいさま・おばあさまの表情が少しやわらいでいたら、それがいちばんの贈り物になったということです。
※本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。持病をお持ちの方、服薬中の方は、事前に主治医にご相談ください。











